ご挨拶

 作業療法士スポーツ支援ネットワークは,東京2020オリンピック・パラリンピックをきっかけに設置された(一社)日本作業療法士協会の特設委員会「障害のある人のスポーツ参加支援推進委員会」の活動を引き継ぐために2022年7月に生まれました。

 本ネットワークの発足に当たり,わたしたちは「障害のある人のスポーツ参加」から「障害」という言葉を取り除き,「スポーツ支援」としました。これは,私たち作業療法士が,スポーツを人にとって大切な作業(すること)であると考え,どんな人でもその人が「したい」と思った時にスポーツに参加できるようにすることが重要であるという想いの象徴です。したがって,本ネットワークではパラスポーツはもちろんですが,幅広く生活の中でのスポーツを対象とします。

 スポーツは,多様で柔軟です。一方で,取り組む人同士では共有できる(種目の)型があります。スポーツには,リアルに体を使ったり動かしたりするいわゆるスポーツのイメージである「フィジカルスポーツ」や頭を使う考えるスポーツである「マインドスポーツ」,コンピューターを用いる「e-スポーツ」があり,様々なスポーツが存在します。さらに,自分達でルールをアレンジしたり,新たなスポーツを生み出すこともできます。また参加にも,実際にスポーツにプレーヤーとして取り組む「挑戦」やプレーヤーやチームを応援したりスポーツの場面を見て楽しむ「観戦」,スポーツをするプレーヤーをサポートしたりスポーツをする舞台(環境)を整えるなどの支援をする「協働」などの方法があります。このように,自分のやりたいことや自分ができること,周りから期待されていることなど個別性を生かした取り組みが可能ですし,同じスポーツを行っている仲間とはお互いを尊重しつながりやすくなります。このようにスポーツは,様々な可能性と魅力を持っています。

わたしたち作業療法士は,スポーツをしたいという人がいるとき,今までしていたスポーツをあきらめている人がいるとき,スポーツについてよく知らない人がいるとき,スポーツを生活の中に取り入れるお手伝いをします。スポーツをプレイする現場で,スポーツをするための移動場面で,スポーツをするための日常生活場面で,スポーツをするための環境作りの場面で,どんなスポーツがあるのっていう情報収集の場面で,作業療法士はその人にとって大切な作業(すること)としてのスポーツとつながるお手伝いをします。

そのために,本ネットワークでは,作業としてのスポーツをサポートする作業療法士の人材育成,スポーツをしたい人やスポーツ現場・関係団体との橋渡し,スポーツやスポーツ参加支援に関連する知識・技術および情報の共有などに取り組みます。

本ネットワークは,会員が自信をもってスポーツ支援に関わり,プレーヤー・チーム・関連団体に貢献できる作業療法士となるための切磋琢磨する場として存在します。また,スポーツにまだつながっていない方は,スポーツを生活に取り入れるために作業療法士に相談する場として活用していただけますと幸いです。本ネットワークが,すべての人のスポーツを通じた健康と幸福に寄与できるよう,(一社)日本作業療法士協会と連携しながら全力で取り組む所存です。よろしくお願いいたします。

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